小龍包を作った。
というか、完成したものは小龍包ではなかったから、「作った」という言い方はウソになってしまう。
料理ってのは、一度食べるとなんとなく「ははん、こうやって作るんだろうなぁ」って想像できるものである。幾度となく食べている小龍包については、言うまでもない。「餃子っぽい皮にお肉を詰めて蒸す」 ね?簡単そうでしょ?じゃぁ、何が簡単じゃないのか。ポイントは3つある。
1.皮は市販されていない。
2.ジュワっというスープが出てこなくてはいけない。
3.とぐろを巻いたように包まなくてはいけない。
まず1。皮を作らなくてはいけない。こんなものは、簡単な部類である。餃子の皮と同じように作ればいいのだ。強力粉を熱湯で練ってこねてのばして丸くすればいいのだ。
次に2。あのスープの正体は、「鶏スープの煮こごり」らしい。どっかの料理番組でやっていたから、正体さえわかれば簡単である。手羽先を何本か茹でて煮こごり完成である。
さて、最後の砦の3。
皮はできた。豚肉とネギとショウガと煮こごりを混ぜ合わせて餡も完成した。問題は包み方だ。煮こごりを含んだ餡は、餃子の餡と比べると、格段にジューシーである。このジューシーな餡を包むわけだが、餃子の包みかたとは一味も二味も違う。
当初の計画では、薄く丸く伸ばした皮の中心に丸く餡を置いて、包み込むように皮を中心に向かって引っ張りあげてキュっと閉じればいいのかなぁ?と思っていた。ちょうど陶芸でロクロを回しながら作る口の細い花瓶を作るような容量で中心をすぼませつつ、捻りながら口を閉じるっていうイメージで作成に当たったが・・・。
無理です。この手順には無理があります。ジューシーな餡の油分に触れた皮を閉じることは不可能です。ぐだぐだやっていると、持っている手の温かさで、どんどん煮こごりが解けてきて、ますますどろどろになっていきます。この状態でどうやってリカバリーするのかすら、もはやわからなくなってしまいました。
しょうがないので、穴を閉じる蓋部分を別の皮を用いてツギハギして、パッチワークのように蓋をします。繋ぎ目から汁が洩れないようにしっかりと閉じます。すると、アワビのようなフォルムの小龍包が完成しました。
「こんなのは小龍包じゃない!」
頼れるものは、インターネットです。「小龍包の包み方」で検索すると、くさるほど出てきました。っていうか、くさるほど出てくるくらいご家庭で小龍包を作っている人がいるのか?もしかして、できないのは、おれだけか?常識の範疇なのか?クッキー作りと同じ程度に世間では作っているのか?「今日のおやつは小龍包よぉ!」「わーい、ママの小龍包はだぁいすき!」とかって家庭がいっぱいあるのか?なんか世間から取り残された気分で調べていくと、そもそもの包み方へのアプローチからして間違えていたようだ。
当初、壷状にしてすぼめて閉じるものだと思っていたが、実は全然違う。むしろ、餃子の包み方に似ている。まず、薄く丸く伸ばした皮の中心に餡を丸く置く。よし、ここまでは合っている。次に、親指と中指で一ヶ所をぐいーっと引っ張って、反時計回りで人差指一本分となりを摘んで、親指で摘んでいる部分とくっつける。この工程を繰り返していくと、きれいにとぐろの巻いた小龍包ができあがる。壷状ではなく、カメラのシャッター風な感じである。餡の量さえ間違えなければ、案外スムースに包んでいくことができた。
不格好なアワビスタイルやら、とぐろが巻けていないようなやつから、なんか巨大になってしまったものまでとりあえずバリエーション溢れる小龍包みができあがった。
これを蒸してできあがりなのだが・・・・。我が家には蒸篭がない。フライパンで蒸し焼きにすることにした。焼きに関しては、野性的なカンを持っているので、間違えることはない。
では、「いただきます」
かなりとろんとろんに仕上げたつもりなので、皮をパカって開けたら、中からどばーーーーって肉汁が出てくるはずだったんですよ。いやいや、出るものなんですよ、ふつーは。口の中を火傷して、それをビールで流して・・・ってのを想像していたわけですよ。
皮の作りが悪かったのか、何がいけなかったのか、いまだ原因が掴めないのだが、なぜか、どばーーーって出るはずの肉汁は、全て皮が吸ってしまって、皮の内側がぶよんぶよんになっていて、肉汁なんか全然でてこないのですよ。
まぁ、スープを吸った皮がうまそうな印象があるかもしれないけども、水を吸った肉まんの皮がヌチャっとしてて気持ち悪いのと似たような気持ち悪さがあって、なんか、全てにおいて失敗でした。
たぶん、あと2、3回やればモノにできるはずなんだ。だから、来週もまた小龍包にチャレンジするから、よろしくね、マイハニー。でも、なんかくやしいから、なんとしてもモノにしなきゃいけないので、たぶん、再来週も小龍包だから、覚悟しておいてくれたまえ、マイハニー。
というわけで、我が家は小麦文化圏に突入いたします。