2005/03/31

置き物

何度か海外旅行へ行ったことがある。イギリス、スペイン、ポルトガル、イタリア。いわゆる、典型的な海外旅行らしい国ばかりである。
ぼくはあまり旅行が好きではなかった。
お金と時間がかかるわりに、おみやげだの、名物料理だの、景勝地だの・・・、めんどくさいものばかりである。
と、思っていたのだが、はじめてイギリスへ行くことになって、一転した。
楽しいのだ。すべてが楽しいのだ。料理から、景色から、街の匂いまで、何もかもが楽しいのだ。
はじめてのイギリス旅行がフリーツアーで、しかも、レンタカーでの旅行だったのが幸いしたのか、自分好みに時間を作ることができる。
街角で、いろんなお買い物をした。日本では手に入らないものばかりだ。あぁ、なんてすてきなのだろう、海外旅行とは・・・。
お土産物屋さんで、ぼくの想像したとおりの品物が置いてあったのには笑ってしまった。
「東京タワーのお土産物で、東京タワーのペン立てとかあるから、きっと、ビッグベンのペン立てもあるに違いない」
たしかに、そこにあった。やはり、国を越えても考えることはきっといっしょなのだろう。
「こんなもん、かわねぇよな」
なんて思っていたのだが、日本へ帰ってきて、物凄く後悔している。なんで、あの時、ビッグベンの置き物を買ってこなかったんだろう!
そのあと、スペインに行くことになって、スペインでは、忘れずに「サグラダファミリア」の置き物を買ってきた。ついでにドンキホーテの置き物も買ってきた。
ドンキホーテは、玄関の横に飾り、わが家の守神になっている。
イ タリアでは、ピサの斜塔の置き物をゲット。親父にプレゼントしたら、なにやら喜んでテレビの上に置いている。うちの親父は飛行機が嫌いとかいいながらも、 イタリアには興味があるらしく、ベネチアの話や、ピサの斜塔の話を興味深げに聞いていた。親父は、きっと、ベネチアに行ってみたかったのだろう。「なんで あんな沈むとこに町つくるかなぁ?」とか、「なんで地盤の悪いところに塔立てて、絶妙な角度で止まるもんかなぁ?」とつぶやいていた。
家内のご両親がフランス、ドイツあたりに行くというので、おみやげに、エッフェル塔をお願いした。
ドイツ土産は、ブランデンブルグ門だ。オーストリア土産は、ヨハン・シュトラウスの胸像だ。
会社の後輩がギリシャに行くというので、「おい、パルテノン神殿買ってこい!」(もう少し言い方はソフトだったかもしれないが・・・)

というわけで、現在のぼくのミニカー駐車場横には、世界各国の置き物が並んでいる。1つ2つくらい並んでいても、それほど楽しくもなかったのだが、数の威力というのはすごい、立派なコレクションになってしまった。
あ、そうそう、イギリス土産は、大英博物館のロゼッタストーンの置き物(ペーパーウェイト?)があった。これも飾っておこう。
しかし、ここまでくると、統一感がほしくなる。
「世界遺産に登録されている歴史的建造物とかじゃなきゃだめだな・・・。」
しかし、それだと、サグラダファミリアは除外されてしまう。まぁ、範囲を広げて、「有名な建造物」くらいでいいだろう。

犬を飼ってから、なかなか遠出ができなくなってしまった。おみやげで置物を貰って、飾っていると、なんか、自分が行ってきたかのような錯覚を覚える。行ってもいないのに、ブランデンブルグ門のでっかさを体験してきたような、そんな錯覚だ。

あぁ、海外旅行にいきたいなぁ・・・。できれば、カッパドキアがいいなぁ。

2005/03/16

Vapor Trails

休日の夕方は、Jacquesと海に散歩に出かける。
平日は、家内が散歩しているので、家内を休ませるためと、家内から離れて独りになるため(笑)に、ぼくが海までの散歩をしている。
エアロビー(フリスビーが輪になったやつ)を持って、海へ向かう。最近のJacquesは贅沢に(わがままに?)なったらしく、ただ散歩するだけでは満足してくれない。散歩して、広場でボールや、エアロビーなんかでひとしきり運動しないと満足しないのだ。
と いうわけで、夕方の砂浜で延々エアロビーをやるのだ。最近は、Jacquesもかなり賢くなったらしく、かならず、ご主人様の足下までエアロビーを持って くるようになった。ちょっと前までは、15分も遊んでいると飽きるらしく、取りに行った先で穴を掘ったり、よその犬とじゃれあったりしていたのだが、最近 は、よその犬には見向きもせず、ぼくの足下までエアロビーを持ってくる。回収率100%だ。「賢くなった」と思っていたのだが、どうやら、「ヤツのところ まで持って行かないと、投げてくれない」と思っているらしい。
気づいたらもう太陽が沈みかけている。こん季節は空気が澄んでいるので、遠くの山並 みまで良く見渡せる。伊豆半島あたりに夕日が沈むのだが、この景色というのが、「海」「伊豆半島」「富士山」「雲」と、なんともベタな情景なので、たしか にきれいな夕焼けで美しいのだが、見慣れてるせいもあって、あまり感動はしない。
伊豆半島上空ってのは、航空機の混雑具合いが最も激しい地区らし い。そのせいなのか、よく飛行機雲を見掛ける。夕方になると、西へ向けて飛んでいく飛行機が雲を引っ張っている。子供のころ、「入道雲、ひつじ雲、いわし 雲、いろいろあるけど、やっぱ飛行機雲が一番かっこいいよなぁ」なんて思っていたが、最近になっても、やっぱりぼくの中での雲ランキングのダントツ一位は 飛行機雲だ。特に、笠雲をかぶった富士山と夕日に向かい一直線に延びる飛行機雲なんかを見つけた時には、「感動」という言葉では言い尽くせない。
飛行機雲ってのは、太陽の位置と角度に影響されるらしく、夕日に向かって延びていく様をみると、「彗星なんかも太陽と逆に尾を伸ばすから、飛行機雲と彗星ってのはなんか似てるのかしらん」とおもったりもしたが、ちょっと、飛行機雲について調べてみよう。

と、ぼくは飛行機雲と夕焼けに心を奪われていると、それを遮るように、Jacquesが飛びかかってくる。Jacquesにとっては、景色よりもエアロビーらしい。たぶん、こう言いたいのだろう。「早くしねぇと陽が暮れちまうわん!」